※貴海×ファレン十八禁

※のようでいて某診断結果により

 無邪気攻めファレン×流され受け貴海です

 

 

無邪気な君が愛おしく

 

 

 

 突然だが、貴海はファレンと破廉恥なことをしないと出られない部屋に投げ込まれていた。

 そこにあったお題を見て貴海は本気で首をくくろうかと考えたのだが、ファレンになだめられる。状況を把握しようと、周囲を見渡した。

 真っ白い部屋に一つだけ、黒いベッドが置かれている。敷布も掛布も全て黒い。男性特有の液体が出たら一発で汚れそうだ。てらてらとした白濁がこびりつくのを考えてぞっとした。頭を振ってその気持ち悪さを追い払う。

 貴海とファレンは部屋の角でほっぽり出されていたのだが、目を覚ますと、床に座るのもためらわれたので仕方なくベッドに腰を下ろす。

「ファレン」

 どこで口にしても甘い名前を呼ぶと、ファレンは近づいてくる。ベッドの横に座らずに貴海の前で膝をついた。

 とてつもなくいやな予感がする。

「……ファレンさん」

「……しないと、出られないんだろう」

 殊勝な口ぶりだが、目に宿るいたずらっ気を欠片も隠しきれていない。貴海は頭痛を覚えながら、これからを期待しているファレンに言いきった。

「だめだ。しないからな」

 二十の年を越えた貴海はすでに十九のファレンに手を出しているが、今回の条件は飲みこめない。鼻をつままれても飲みこみたくない。

 閨事の進行役を交代しろなどという、馬鹿げているとしか言えない命に誰が従うか。

「まあまあ、そんな短気にはやるな」

「そうはいっても。君のペースで進められたら自制できる気がしない」

 貴海は一度、去勢された男だ。女性をかきわけるものまで切除されなかったが嗜好の根には強い性への嫌悪がある。ならば修道士にでもなる覚悟で生きればよかったのだが、ファレンと出逢ってしまった。

 唯一の性的興奮を覚えさせる、女性に花開きつつある少女には欲情できる。

 だけれど性的興奮を抱けるとはいっても嫌悪が消えるわけではない。薄まりはするが、怖気や吐き気は症状として出てしまう。自分の手で進められたらそれらの衝動をある程度まで操縦できるが、ファレンが自分を愛撫するとなると。

 どうなるかわからない。

 貴海は初めて、ファレンを拒絶しようとした。

 傷つけたくない。嫌われたくない。ファレンに背を向けられたら自分の全てが砕けて終わる。

 なのに。

「案外、簡単に外れたな」

「ベルトを取るな!」

 ファレンは素早く事を進めていた。貴海のズボンをかきわけると、まだ目覚めてはいない雄を下着の上から撫でてくる。

「こうして会うのは初めてだな」

 無駄にロマンチックな台詞を使わないでほしい。

 貴海は泣きたくなった。ここまできたらファレンを止めるのは難しいだろう。好きにしろ、と体の力を抜くと、ファレンはひたすらに撫でている。むずがゆい感覚は呼び起こされるがそれだけだ。

 なのにファレンは下着の上から軽く触れ続けることしかしない。

 いやな予感が再びした。

「……ファレン」

「ん?」

「楽しいか」

「ははは、ここからどうするかさっぱりわからない」

 ファレンは手を止めて降参の形に腕を上げる。快活な笑みを前に貴海は、深いため息を吐きだせる限り部屋に溶かした。

 

 

 

 ファレンに、まずは「君もベッドに乗りなさい」と言った。ファレンはしたがって、ベッドの上で足をそろえて座る。次にそのまま、前かがみになるように言って、ファレンの儚いかんばせを醜い雄性の象徴に近づけさせた。すでに生ぐるしい匂いを発する逸物の匂いが届いたのかファレンは眉根を寄せる。

 貴海は緩められたズボンを自ら下げることはしない。ファレンが、下着から徐々に熱をこもらせている、貴海の雄をのぞかせた。

 この時点で貴海は大分気持ち悪くなっていた。えずきそうだ。美しいものの前にそれを穢すだけでしかないものが晒されている。大衆に憎悪されきった囚人が首を折られた瞬間を見られたら同じ気持ちを味わうだろう。嫌悪されるしかないものを無理矢理につるしあげられているのだ。

 貴海の呼吸が荒くなる。興奮じゃない。視界が点滅して、震えてくる。寒い。この部屋の環境調整はおかしい。

「貴海」

 ファレンが俺の名前を呼んだ。

 目を合わせると、ファレンは両手で、いとたかきものをすくうように触れた。目を細めて唇を寄せる。つややかな噛み痕などのない薄い紅が、粘膜が、俺のものとこすりあう。

 びり、と体中にしびれが走った。思わず目を閉じて背中を丸めかける。

 ファレンは満足そうだ。

 そうして、はじめての口淫が始まった。貴海はいままでファレンに愛撫を教えたこともさせたこともない。そうしたら、何度も繰り返すが自分が壊れそうで怖かった。ファレンは快楽を味わうだけで、貴海が奉仕者であればこの行為は許されることだと思っていた。

 だから知らない。ファレンが何のたくらみも考えもなく、無邪気に俺に触れたがっていたなんて考えすらしなかった。

「ん、くぅあ……!」

 おかしな声が出る。ファレンが、俺の汚濁のものを舐めている。そのたびに硬さを増して血脈をほとばしらせ、ぴくぴくと別の生き物のように優しいくすぐりを恋しがっている。

 そうしているファレンは何も言わない。口を狭めながらすぼまりを控えめに吸い、ちゅるちゅると先走りを舐めとっていく。吸うだけではおさまらなくなると頬にまで液をつけながら舌を伸ばしてきた。かじ、と甘く噛まれる。

「ひぅ……! あ、く……!」

 情けない声が喉からこぼれて、口を媒介に弱みを見せる。

「ふぁいじょうぶか?」

 吐息でますます刺激をくわえながら、いままで弄ばれてきたことしか知らないはずのファレンは、俺を溺れさせていく。未知なる快楽の水槽が全身をふやけさせてきた。何も返せない。答えられない。

 ファレンは貴海が引きつった声を上げるのを聞いて、手を止めた。ようやく快楽が止んだことに、一瞬だけ貴海は落ち着く。目を閉じる。暗闇の中での冷孤にまた震えかけるが、やわらかなものが貴海の嫌悪すべきものに触れられた。

 目を見開き、もう声すらも出せなかった。淡々と喘ぐ。

「……直感だが、こうしたら良いかなと」

 申し訳なさそうにしているファレンの、前髪を撫でた。

 いまはファレンの豊かなちぶさが俺の雄を包み込んでいる。発達目覚ましいとは思っていたが、まさかこんなことで思い知らされるとは。そんな悔しさと純粋な悦楽が入り混じっていく。

 ファレンのきめ細やかな肌がこすれ、じわじわと快楽が浸透してきた。上に持ち上げられて雁を潰される圧迫感に息をのむ。

「ふぅ、あ……ん……!」

「たか、うみ。なかなか……動きづらい」

「俺だって、こんな。初めてのことをされて……ひぅ、が!」

 涙が出る。

 気持ち悪い、怖い。おぞましい。妖や怪異に襲われているわけでもないというのに。いや、それらだったら純粋に嫌悪して終わった。いまそうなれないのは、俺に触れているものがファレンだからだ。

 ファレンに望まれている。昂ぶることを願われている。そう考えると俺の中の薄暗い欲は徐々に先端を研ぎ澄ませていった。

 そのまま堕獣になって、慈しみを教えてくれた女性を、同じところまでひきずりこむことによって羽を奪うがいい。

 したくない。涙がにじむ。

 いままで、困惑しながら胸を揺さぶっていたファレンが動きを止める。前をはだけさせながらぎゅっと、下着を取り去った裸の乳果で俺の顔を押しつぶす。

「悪い、お前の心を置き去りにした。……すまない」

 さらに胸がおしつけられる。

 下世話な話によれば、男が、本当に女を凌辱するときには泣き叫ぶ様すらも嘲笑って使い捨てにするとあった。ときには愛をささやきながら利用する場合もある。

 それらとファレンを比べる気もないが、そうしても全く意味は違うのアが、いまのファレンに、罰を与えたくなった。

「そうだな。俺は、いやなことをされた」

「ごめんなさい……」

 落ち込み、貴海の目を見つめるファレンにほだされたのではない。罰を与えるならば同時に許しを与える必要がある。罰を味わせるだけならば、それはただの復讐だ。

 貴海はファレンを引きはがす。また、落ち込むだろうがあてつけにならないように神妙な顔をしていた。そんな強さに、貴海はいつも憧れる。

「ファレン」

 うん、と頷く。

「調教の始まりだ。俺も、君も」

 言って自分の精液がてらついている、ファレンの唇を指でたどった。

 

 

 

 ファレンが貴海を調教するように頼むには骨折るだけだった。

 いままでさんざ鳴かされて、泣かされてきたというのにファレンはそこらの生娘よりも無垢であり、かたくなだった。

「お前が、貴海が泣くようなことはしたくない」

 そんな男前の台詞を言い切るほどだ。

 そして、普段は軽やかな髪の動きや快活な表情を見ることのできる、二十センチメートルの身長差も障害の一つになっている。お互いに秘部を舐めあう行為をするのには差がありすぎた。ファレンが上に乗っても貴海が腹筋を酷使しないかぎり、慎ましやかな蜜滴る場所に指先をつけるすらできない。

 貴海は考え込む。どうしたら、ファレンに相手を調教する術を教えられるのだろう。

 立ち上がった雄を押さえこんで服の下にもぐらせたあと、顎に手をあてて考え込んでいた。ファレンは静かな目で待っていてくれる。豊かな二つの乳房は見えたままだが、いまはうつぶせになって貴海の動きに焦がれていた。

「……俺の閨事は、父からの教育と友人たちによる情報提供が主だ」

「ああ」

「いま告白をするのもなんだが、言うしかない。俺の性知識が大変偏っているのは自覚している」

「ああ」

「ファレン」

「あ、ん」

 貴海はファレンの腕をつかんで引き寄せた。唇を重ねて貴海へ愛を語ってくれる大切なところを味わう。舌を伸ばして、ざらついた表側を何度もやすりをかけるようにこすりあわせた。生まれてくるのは唾液だ。ファレンの頬を伝いそうになるそれを、飲みこむように喉をつつく。

 ファレンは目を閉じた。こくん、と喉が動く。

 唇を離す。貴海は、ファレンを征虐の意をもって、組み敷いた。

 服や皮膚という花弁に手をかけているいまだからこそ、ファレンはこんなにも綺麗な花だったか、と貴海は思い知らされる。赤に埋もれる儚い薄紅の薔薇にも通じ、反対に小首をかしげる百合のようにも見える。

 確かなのは、ファレンは貴海にとって、守るべき一輪の花だ。

 唯一だ。

 貴海はファレンのあらわになった胸に手を置いた。反動を返すふくらみに力をこめながら、ワンピースを脱がす。ずるずると外してからベッドの下に落としたあとに、タイツの扱いを悩んでいるとファレンから言ってくる。

「いまはまともな状況じゃないからな。裂いても大丈夫だろう」

 頼りない根拠だったが言う通りにした。ファレンのタイツの境に縦へ爪を走らせていく。ぴぴ、と微かな音がしてファレンの白い脚が見えた。それを何度も繰り返して無残なタイツも床に落とす。

 下着は黒地にフリルと赤いリボンが絡まっていた。その、繊細な三角のあたりに指を重ねると湿った感触が伝わってくる。貴海は人差し指で何度も往復した。

「濡れている」

「そうだな」

 指にも十分な粘り気がついて、つけてはなすと糸ができる。貴海はその指をファレンの唇にあてた。意を汲み、くわえてくれる。貴海の指がふやけるくらいにファレンの舌と唾液がからまったあと、貴海は指を抜いた。

「ファレン。偽りなく、俺は君だけを愛している」

 空っぽになりそうな響きに込められる限りの愛情をこめて貴海は言った。本当だった。

 いまですら痛いぐらいの醜欲と、怖気に耐えながら、ファレンという存在の希少性を確かめる。抱きしめた。

「愛を言い訳にして君をいたぶりたくない。だから」

「たかうみ」

 遮られた先にはすべてを受け止めてきてくれていたファレンがいる。嬉しそうに微笑んで、手を伸ばして頬を撫でてくる。

「わかってるよ。お前が無理強いしてきたことなんて、一度もない。はしたない俺がお前を欲しがっているくらいだ。……たまには、俺にお仕置きでもしないと図に乗るぞ?」

 君はひどい嘘をついた。図に乗るなんてことはない。これからも、ない。そうであるなら俺は苦笑して甘やかすくらいだ。

 これ以上の言葉は必要なかった。

 貴海はファレンを抱きしめていた腕をほどくと、うつぶせにさせる。ファレンの腰だけを持ち上げて最後の貞淑の城である下着を外した。

 貴海はファレンの後ろで膝立ちになる。くぱり、すでに潤んでいる蜜処は視線に犯されているのを恥じるようにまた濡れた。貴海は指を沈ませる。熱と湿りをもった快楽の泉はためらいなく貴海という異物を受け入れた。

「ん……はぁ。く、ふぅん……」

 腰が揺れる。電流が走ったように、不意に震える。

貴海は指を二本から三本に増やしてばらばらに動かすことや、まとめて奥をなぞることを繰り返す。そのたびにファレンはシーツを強くつかんで、小さな臀部を震わせた。赤くなっていく。

両の手の指でファレンの蜜室をこじあければ、すでに挿入はできそうなほど濡れ滴っていた。薄暗い赤い奥はすでに貴海という雄の味を知っている。何度もくわえこませた。何度も、精を放って男の色に染めた。

「あの、貴海……?」

「見られて恥ずかしいか」

「多少はな」

 貴海は考える。このまま進めるか、どうするか。とろけそうな匂いが誘ってくるが貴海は指を抜いた。

「ファレン」

 名前を呼ぶことでこちらに振り向かせて、ファレンの蜜でふやけた指を、目の前で舐めていく。

 きもちわるいのにきもちいい。

 ファレンの一部を辱していると思うと貴海の背筋に罪悪感と高揚が走った。自分で指を犯すようにしつこくファレンの残りをのみこんだ。

「似たことはできるか? 俺のものをしごいて、精液を出させて飲みこむんだ」

 最低なことを口にしているのはわかっていた。

 なのにファレンは笑う。解放されきらない熱によるものか、頬をほのかに赤く染めながら、腰を下ろした貴海の膝に手を乗せた。ちち、とズボンを緩めていく。下着をかきわけてすでに高ぶりを見せているものを取り出した。

 ファレンは最初に頬をこすりつける。すり、と先走りで顔を汚させた後に口にくわえた。一回目の時より大胆になっている。口はそこまで大きく開かずに軽い口づけを何度もしてくれた。特に、雁の部分と先端の反応が大きいことに気づくと、舌を伸ばして先端をつついてきた。

「っ、ふぅ……あ、くん。ん!」

「こちらも触れたほうがいいんだろうな」

 そうしてファレンは貴海の精液が詰まった場所を指で転がしていく。直接の刺激に貴海は後ろに重心を移し、シーツに爪をたてる。ファレンはいまだ口と手で愛撫を続けている。もどかしそうに腰が揺らめいていた。

 だけれど貴海はファレンの愛撫を甘受する。徐々に熱が下腹部から雄へと移っていく。そのまま吐きだすところを求めていた。

 ファレンの口の中、そして腹の底にこの迸りを注ぎ込んでしまいたい。

「うふぅ……たかうみ、かたくて、苦い……」

「ああ。これがいつもお前の腹に出されているものだ。今日は上も下からも、飲めるな」

「ひ、わい」

 微笑んでファレンは貴海の先をぺろりと意地悪く舐めた。

「………!」

 自分では気づかなかったが貴海も同じ笑みを浮かべていた。ファレンにからかわれていることに、欲情してしまった。

 それが射精のきっかけになる。

「っ、ファレン。全部飲めるか?」

「貴海が言うならな」

 両手で貴海の雄を包み込んでファレンは初めてしっかりとくわえこんだ。貴海は薄暗い笑みを浮かべたまま、ファレンの頭を押さえて精を吐き出していく。精液はファレンの口の中にとどまらず、空いてしまった端から頬や鼻まで汚していった。

 貴海は最後の一滴を出し終えて体を震わせる。ファレンが飲みこもうと、んぐんぐと口を押さえながら格闘していた。粘り気のある液体はそんな簡単に腹に落とせないらしい。

 その様子を貴海に見られているのを思い出したのか、ファレンは困ったように笑っていた。口を押えたまま、何度も喉を動かしている。

飛び散った液体の一部は想像通り黒いシーツを汚していた。てらりと光源のわからない明かりを受けて光っている。

「ファレン」

 貴海はファレンの顎に手を当てて強引に口を開かせた。赤い粘膜に白がまとわりついている。舌に人差し指を置くと、苦しさからか、ファレンは眉根をよせた。

 貴海の指に自分のだした精液が付く。

 辱めていることに。

 愛おしい人にこんなものを押し付けたことに。

 嫌悪を覚えた。

「……ファレン」

「ふー?」

 飲み終えたのか、ファレンは貴海が苛立っている指先を吸っていた。ちゅるりと飲みこむとすぐに離れる。

 チョーカー以外は何もつけていない体を誇らしげに反らす。

「どうだ。ほとんどは飲み終えたぞ。ねばついて、鼻についてうまいものではないというのに……不思議といとおしいな」

 言って、ファレンは快活に笑い、腹を撫でる。そこに何を期待しているのだろう。それとも、ただあると撫でているだけなのか。

 わからない。

 はっきりとしているのは、いま、貴海はファレンに確実な恋情を覚えている。歯をくいしばり、ファレンを押し倒した。驚きも不安見せることもしないで、ファレンは腕を貴海の首に回す。

「ほら、おいで。貴海。俺のはしたないところはお前が恋しくて仕方ないよ」

「そうだな。俺の浅ましいところも君が欲しくて怖がっている」

 ファレンの脚を折りたたませて、貴海は目に見える蜜処に自分の雄を沈み込ませていく。くぷくぷと柔らかなところは貴海の硬く脈打つ雄を包み込んでくれていた。奥に、こつんとすでに下がった子宮口らしきところにぶつかる。最初は、撫でるように突いた。

「ん、んん――!」

 ファレンは腕の力を強くする。貴海はさらにファレンの脚を開かせて、折りたたませると、より深く撃てるようにする。

 じゅぷ、みゅぷ、にゅちゃあくちゅりぐちゅ。

貴海の耳に液体が絡み合う、そんないやらしい音が聞こえてくる。肌が叩きあって、ぱん、と乾いた音など少しばかりやかましかった。

 散々じらされたファレンの体は熱を持って、それを放ちたいと、何度も軽く達していた。つま先が尖るたびに貴海はファレンの耳に、頬に口づける。かすめる三つ編みがくすぐったい。

「あぁ……ん、ふぅ……! く、うぅん! は、たか。たかうみ……」

「なんだ。物足りないか」

「おまえがだろう……?」

 いたずらとばかりにファレンが、無意識だろうが、膣内を締め付ける。その刺激に貴海は達しそうになった。腰に力を入れて耐える。

「いたずらっこ」

「ふふん」

「……お返しだな」

 貴海は一度、ずるずると這い出る蛇のように抜きかけてから、ばちゅん! と強くファレンの奥にたたきつけた。柔らかいそこは受け止めてはくれるが、全身に走ったしびれには耐えきれないようだた。ファレンの目が少し見開かれる。

 手ごたえを得た、貴海は何度もファレンの底に、抜いては叩きこむ。叩き込んではさらに奥を開こうとえぐっていく。ぐるぐると全身を駆け巡る感覚は吐き気と快楽を同じものになっていた。

「ひぅあ、ん、んん! ふぁ、きゅぅ……! ん、はじめて。たかうみ、はじめて……だ」

「なにが、はじめてなんだ?」

 腰を動かすのはやめないまま問いかける。

「こんなに、おく……あけら、れて。ぐちゅぐちゅされる、のは。……すごい……」

 また達したのか、ファレンの体が震えて、緩まる。

 貴海もそろそろ限界か、と感じ取る。

 さらに奥に行きたいと、ファレンの膣内をこじ開けていく。柔らかな媚肉をかきわけて、ちゅこん、と奥につく。

「ファレン……」

 名前だけを口にして、唇を一瞬だけ重ねた。

「ん、はぁ―――――――――!」

 触れた粘膜が遠ざかれば防ぐものなど何もなく、ファレンは耳に優しい溶けた声をあげた。柔壁が震えて、貴海の吐きだす精に貪欲に絡みつく。さらにほしいと搾り取られそうだ。実際に、予想以上に射精は長かった。 

ファレンの腹はふくらみこそしていないが、自分の精液で満たされている。

 いま、いつものように微笑みながら手を伸ばしてくれるファレンが、俺で満たされている。

 それでも。

 今回はファレンが主導権を持っていたことはわかっていた。

 いつだってファレンは俺を立ててくれているが、支えてくれているのはファレンという存在だから。

 貴海は首に回された腕を解いていき、いまだつながっている愛おしい人を抱きしめた。

 

 

(12.11 初出)