私が愛した小説家

 雨に降られながらもカルナさんのラバーストラップを手に入れたりして元気にしています。

 

 

 今日の話は私の好きな小説家の話です。

 筆名は「桜庭一樹」先生。

 

 私が桜庭先生と最初に出会ったのは、いまは奇妙な相貌になってしまった本屋でした。

 『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の富士見ミステリー文庫版です。一度買って、なくして、ふとある古書店で巡り合えたものが本棚で眠り、たまに起こされています。

 この一冊は物ではなく私の心の書棚にも収まるほど、特別な味を残してくれました。

 一番響いた部分は「もう会えない」の場面です。

 なぎさと藻屑が一緒に旅に出ようとしたら藻屑が父親に殺されてしまった、物語の始まりと終わりのつなぎ目です。

 単純に藻屑が殺されたのが、当時の私にとって強いショックだったのではありません。藻屑は本当に消えたのだと貴重な一読目を終えた私は受け止めました。

 奇妙な転校生として舞台に登場し、主人公である山田なぎさの友達になることに焦がれ、結果、友達になれたのに父親によって虐待死された名前だけの少女で終わってしまった。

 同時に、なぎさが抱えるありふれた貧困が身に迫って感じられたのもあります。互いに逃げ場のない少女が、逃げようとする前に断ち切られた物語。

 リアリティとかの問題ではなく、いつの時代でも苦しむ心に寄り添ってくれる一冊です。

 

 と、私が読むことのできた『赤×ピンク』から始まり、『ファミリーポートレート』までは新刊が出るたびにときめきながら買っていました。

 それ以降は、『傷跡』まで読むことができました。

 でも、いまは新しい桜庭先生の作品が読めません。

 

 好きな作家さんには自由に書いてもらいたい反面、新境地ではなく反響を求めてしまうのかなあと本棚を見つめながら考えています。